最初のグラフは何のグラフかわかりますか。
ロシア・ルーブルとドルの為替の動きです。
2003年に 1ドル=0.034ルーブル だったルーブルの価格は、直近 1ドル=0.013 ルーブルとルーブル安となり、約18年でルーブルの価値は約3分の1 に下がったことになる。
18年前は 30で買えたアメリカの製品が、77出さないと買えない状況である。
そんな、インフレする通貨を持つロシアで、バイナンスが仮想通貨の調査を実施した(回答数23,133人)。
なんと、約80%のユーザーが仮想通貨を保有しているという。
日本の保有率が約11%なので、異常に高い比率ということがわかる。
なぜ、仮想通貨を保有するのかの問いの回答は以下のとおり。
・37.7%は、2020年の価格上昇を理由にあげた。→ キャピタルゲイン狙い
・25.3%は、従来の金融システムを信用せず、リスクヘッジとして投資。→ ルーブルの信用力が低い
・18.5%は、銀行預金の金利が魅力的とは言えないことを理由にあげた。→ 金利が低い(ロシアは4%の金利はあるのだが)
・9.3%は、法定通貨の価値の低下を理由にあげた。→ ルーブルのインフレ
日本の場合は、円の信用、円のインフレが理由で仮想通貨を購入する人はいないであろうから、キャピタルゲイン狙いか金利の低さからであろう。まあ資産運用の一つの手段というところでしょうか。
ロシアの場合は、自国通貨ルーブルに対する信認の問題なので、切実。ロシアに限ったことではなく、自国通貨が弱い新興国は同じような結果になるであろう。
今後、世界景気が本格的に回復してくると、FRBが世界中にバラ撒いたドルの回収に動くので、ドルの金利上昇からドルがアメリカ本国に戻り、新興国通貨安ドル高となっていくであろう。
そんな時は、自国通貨が弱い新興国は、しばしば自国通貨がドルに対し、大幅に下落し、通貨危機に陥る。
そんな未来を見越して、ロシアのように自国通貨を信用していない国民は、資産を仮想通貨に回避させていく。
自国通貨が強い日本国民にとって、仮想通貨は所詮仮想通貨だが、ロシアにとっては仮想通貨は仮想ではなく、安心できる本物の通貨にみえる。預金通貨(ルーブル)にとって代わると考えるのも当然のことであろう。