人口13.8億人で近い将来、中国を超えて人口世界一になるインドで、仮想通貨に対する取扱いが注目されいた。
インド議会は23日、民間の暗号資産(仮想通貨)を禁止し、中央銀行が支援するデジタル通貨の枠組みを作る法案を政府が提出すると発表した。
法案は「インド国内の民間暗号通貨の全面的禁止」を目指す内容で、次の会期に提出される。
仮想通貨技術を促進するために一部の例外を認めるとしているが、詳細は公表されていない。
世界一の人口を持つ中国では、仮想通貨は何もかも既に全面禁止になっている。
これで2つの人口大国が仮想通貨の禁止に踏み切った。
インドでは昨年4月に最高裁が過去の禁止命令を覆して以来、仮想通貨市場が急成長を続けており、その規模は過去1年間で7倍以上に拡大していた中での規制である。
詳細は内容を見てみないとなんとも言えないが、世界の仮想通貨業界にとっては痛い話であろう。
新興国によっては、仮想通貨を歓迎する動きと、そうでない動きの2つがある。
例えば新興国のエルサルバドルではビットコインを法定通貨にして話題になっている。
これは仮想通貨を歓迎した動きだ。
ドル、ユーロ、円のように、国際的な法定通貨を発行できる国は、今回の仮想通貨は自国通貨を脅かすことはないと考えているが、新興国にとってはそうではない。
中国やインドの場合、自国の法定通貨である人民元、インドルピーは国際通貨ではないので、もともと国際送金には向かないし、通貨の信任も低いので、インフレ(通貨価値の下落)を伴いやすい。
もし、ビットコインなどの仮想通貨を認めてしまうと、ビットコインは国際送金で便利に使え、インフレもしない(ビットコインは供給量が決まっている)ので、自国通貨より、ビットコインを保有する割合が増えてしまう。
こうなると、自国通貨は国内で使われなくなり、政府や中央銀行は、国内経済をコントロールするすべを失ってしまう。
こんな理由から、新興国は自国通貨を守るために、仮想通貨を禁止する方向に行きやすい。
国を管理している中央集権的な立場(政府や中央銀行)からは当然の結論だと思う。
とはいっても世界は、仮想通貨を容認し、ブロックチェーンの新しい技術の発展を支援していこうという流れである。
国が禁止しても抜け道はいくつもあり、国民が望む限り、この流れを完全に止めることはできないであろう。
それほど、300兆円の暗号資産市場は無視できない市場に成長し、DeFi、NFT、メタバースなど、今後も一番の成長ドライバーになり得る市場だからである。
今回のインドの処置は、当面、仮想通貨業界には暗い影を落とすが、中国もインドもいずれ仮想通貨を認める日が来るであろう。