米ETF運用会社ProSharesは20日、インバース型のビットコイン先物ETFの申請がSECに承認され、ニューヨーク証券取引所に上場する予定を発表した。
米国の初事例になる。
インバース型のビットコイン先物ETFは-1xのレバレッジで、ビットコインの先物をショートする(空売り)上場投資信託。
ProSharesは4月に弱気相場を背景にSECに申請したものだ。
昨年の10月にも、他の2社が申請していたが、SEC(証券取引委員会)は当時「レバレッジへのエクスポージャーは望ましくない」という方針を示したため、申請を取り下げていた。
これが今になって急に認可された背景には今回の急激な相場の下落がある。
もともと昨年10月にビットコイン先物ETFが上場し、これまで税制等の理由で現物のBTCの購入を避けてきた機関投資家が大量に資金を入れてBTC市場に参入した。
ただ、今回のような急激な相場下落の場合は、機関投資家は損失を確定するために、一旦保有しているETFを売却するしかなかっった。
今回のようなインバース型のETFがあれば、ビットコイン先物ETFのポジションを残したまま、このETFを購入すれば、リスクヘッジをすることが可能になる。
こうすることで、売りが売りを呼ぶような現物相場に一定の歯止めを掛けることが可能になる。
また、今回仮想通貨取引所大手のFTXのサムCEOから、今回の流動性危機の発端であるThree ArrowsやCelsiusのような企業を救済する用意があるとの発言があった。
FTXは資金が豊富で、以前もハッキング被害を受けたグローバル仮想通貨取引所Liquid Global(リキッドグローバル)に、当時のレートで約130億円(1.2億ドル)の緊急融資をして、買収した経緯がある。
この発言が相場の安心感につながっている。
このようなインバース型ビットコイン先物ETFの上場やFTXのCEOの発言を受けて、相場は少し落ち着きを取り戻したようだ。
まだ、予断を許さないが、一旦は底値固めを始めるフェーズかと思う。
ただ、FRBの利上げ方針や株式市場の動向次第でまだ神経質な相場は続きそうだ。