日銀は物価上昇2%(インフレ2%)を目標に金融政策を取っていますが、これって誰にとって得なのでしょうか?
毎年物やサービスの価格が2%ずつ上がっていくので、一般の消費者にとっては得なはずはありません。
では、預金者にとって得なのでしょうか。預金の実質的価値が毎年2%ずつ目減りしていくので、得なはずははりません。
では、土地、金など実物資産の保有者に取って得なのでしょうか。物価下落するよりは物価上昇した方が得ではありますが、もっと得する人がいます。
それは、何と言っても、借金している人(日本の円でお金を借りている人)です。
借金している人???
AさんはBさんから10年間1,000万円お金を借ります。10年後に一括返済です。金利は一旦おいて元金のみで考えましょう。
Aさんは借りた1,000万円で土地を購入します。10年後にその土地は1,200万円になっているとしましょう(物価上昇2%×10年)。
10年後土地を売却して1,200万円手に入れます。その売却代金から1,000万円をBさんに返済します。
金利を考えなければ200万円得したことになります(借入金利が年2%を超えると借入の利息も含めて損になってしまいます。あくまで金利は2%以下であることが条件です)。
得した人がいるということは、損した人がいるということですが、誰が損しているのでしょうか。
そうです。お金を貸したBさんが損をしています。
1,000万円貸して、1,000万円返してもらったから、損してないではないかと思うでしょうが、10年後物価が20%上がっているので、1,000万円で買える物は20%分少なくなっています。
ということは、お金の価値が20%目減りしているのです。
ケインズは、インフレは見えない税金と表現しましたが、知らない間にお金がなくなっているのです。
逆にいえば、借りている人は知らない間に物価上昇分、借金が帳消しになっているのです。
インフレは借金している人にとって、超ハッピーな世界です。借金している人喜びましょう。
では、現在、円で一番借金をしている人は誰でしょうか。ソフトバンクですか???
・・・答えは、『政府』です。
政府は1,000兆円を超える借金があります。物価上昇が2%なら、毎年20兆円政府の借金が帳消しになっているのです。得してますね。
得している人がいれば逆に損している人がいます。誰でしようか。
・・・答えは、『家計』つまり、一般消費者です。
消費税を毎年2%上げますというと、国民は増税反対と叫ぶでしょうが、物価を毎年2%上げますといっても騒ぎません。見えない税金だからです。
このような環境の中、借金がなく、資産を保有している人は、資産を運用しないで、ゼロ金利の預金に置きっぱなしで良いのでしょうか。私なら物価上昇分の2%以上で運用できる方法を探します。
借金だらけの政府から資産を守りたいからです。