中国は、5月21日に国務院金融安定発展委員会の方針として、ビットコイン(仮想通貨)マイニングおよび取引の取り締まり強化を打ち出していた。
この方針のもと、実際に、Alipayを含む国内の銀行や金融サービス業者に対し、仮想通貨の投機的な取引に関する聞き取り調査を行い、本格的に取り締まりに動き出してきた。
これまでであれば、取引所で取引ができなくても、OTC取引というもので、水面下で取引ができていたが、Alipayや国内銀行などに調査が入ると、決済口座が使えないので、このOTC取引もやりづらくなる。
これにより、仮想通貨へのお金の出入りの8割以上が消えるとの予想もある。
中国は2017年に仮想通貨取引所を法律で禁止するまでは、世界のビットコイン取引の80%を占め、ビットコインのマイニングシェアも世界の70%と仮想通貨大国であった。
2017年以降は、一貫して規制強化に動いてきており、中国の国民や企業の仮想通貨のシェアは大幅に低下してきている。
中国政府としては、国民には稼いだ所得を人民元として保有してほしいと願っている。一方で、国民の方は中国政府を信用していないので、人民元をドルなど信用のあるものに替えて中国政府が補足できないように海外に資産を逃しておきたいと考えている。
ドルなど外貨は、外貨規制があるので、国外送金が難しい。そこで目をつけたのが、仮想通貨である。
このような理由から、中国では一時仮想通貨取引が活発になった。
ただ、中国政府としては、この仮想通貨を利用した海外送金を放置しておけない。
国内資金がどんどん海外流出すると、人民元は売られるので、価値がどんどん減少してしまうからである。
人民元の価値の下落は、国内のインフレを招き、インフレに対する不満から共産党の一党独裁体制が崩れかねない。共産党政府としてはどうしても避けたいシナリオである。
こうしてみてくると、中国政府が、ビットコインの取り締まりを強化する理由がわかるであろう。中国政府も必死なのだ。
今後、中国からの仮想通貨市場への資金の流入はかなり細るであろうから、しばらく、仮想通貨市場はおとなしい動きになりそうだ。
中国の代わりに日本の仮想通貨市場がもっと盛り上がれば、世界の仮想通貨市場も再び大きく動き出すであろう。
デジタル庁もできたし、日本の前向きな動きに期待したい。