前回MMT⑦信用創造の仕組み - 実践バリュー投資で書いたように、世の中に出回っているお金(マネーストック)のほとんどは、預金通貨(銀行預金)です。
これは銀行が信用創造という機能を作って、無から生み出したお金です。
万年筆マネーとも言います。
実はもう一つ世の中に出回っていないお金というものがあります。
それは、日銀当座預金というもので、日銀が民間銀行に発行しているお金になります。
この日銀当座預金に、日銀券(紙幣)発行残高、貨幣流通高を加えたものが、日銀の発行しているお金で 『マネタリーベース』と呼びます。
このマネタリーベースのほとんどが、日銀当座預金です。
2つのお金とは、『マネタリーベース』 と 『マネーストック』 です。
景気を良くするためには、世の中に出回るお金の量、つまり『マネーストック』の量を増やさなければなりません。
『マネーストック』の量を増やすということは、マネーストックの大半を占める預金通貨(銀行預金)を増やさなければなりません。
預金通貨(銀行預金)を増やすには、民間銀行の信用創造による貸出を増やさなければなりません。
貸出増 ⇒ 銀行預金増(マネーストック増) です。
ここには、もう一つのお金である 『マネタリーベース』 は出てきません。
日銀が量的緩和という政策(市場の国債を買い取って、日銀当座預金を増やす)で、景気を良くしようとがんばっています。以下のルートで世の中にお金が回っていくというリフレ派の政策です。
日銀当座預金増(マネタリーベース増) ⇒ 銀行預金増(マネーストック増) ⇒ 貸出増
マネタリーベースは、日銀と民間銀行の間だけで使えるお金であって、世の中に出回るお金(マネーストック)と異なります。
実際は、いくらマネタリーベースを増やしても、マネーストックが増えません。もちろん貸出も増えません。
マネタリーベースを増やす日銀の金融政策は限界にきているのです。
では、マネーストックを増やすには、どうしたら良いのでしょうか。
日銀の金融政策がだめなら、政府の財政政策で、マネーストックを増やすしかないのです。
(参考)アベノミクス開始から現在までのマネタリーベースの前年比推移
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