昨日の掲載記事の視点から見た、今回のユニゾンの言動には、注意が必要と感じる。
個人投資家利益増大を狙う私にしてみれば、ユニゾンは極めてクレバーに事を進めている。しかし、最終的に個人投資家がファンドの利益の犠牲になるリスクが内包している可能性が高い。
アデランスホールディングスについての過去の新聞記事を紐解くと、08年9月末には、同社が株式非公開化に向けて、複数のプライベート・エクイティーに募集を開始した、との報道がある。その影響で、株価の上下動が起こっている。この時点(08年10月1日)での同社株式価格は1株1,595円。急落の直前、である。
恐らく、ユニゾン、カーライル、ベインキャピタル等のPE(プライベート・エクイティー)ファンドはこの時点で既にアデランスに接触していたであろう。しかし、当時の株価ベースでアデランスホールディングスの時価総額を概算すると、700億円以上。PBRは08年2月期実績ベースで算定すれば、1倍強。しかも極めてCash Rich(08年2月時点で141.4億円保有)企業である
PE(プライベート・エクイティー)ファンドとしては当然食指を伸ばす対象企業となるに値していた。
その後に、日本株式全体の急落が起き、合わせてアデランス株可も、以前記載したように急落した。価格落下率は遥かにアデランス株価の方が大きいが。
以下は日経平均株価の過去約1年間の推移である。
現時点での、アデランスホールディングスの株価指標は、PER=−18.32倍、時価総額は430億円弱でPBR=0.65倍。
昨年度が最終赤字に転落しているためPERベースでは魅力的ではない。
しかし、
・Cash Richな資産内容(約140億円)
・高い自己資本比率(連結で09年2月期末時点で80.5%)
・銀行借入が長期借入れ6億円のみ(短期借入れ無し)のコーポレート・ファイナンス視点が皆無な財務体質
などを考慮すれば、LBO(レバレッジド・バイアウト)対象としては打ってつけであり、このレバレッジ・ローンが出ない、或いは金利が極めて高い現不況下においても、ユニゾンは銀行からの調達は可能であろう。
昨年10月時点より、遥かに条件が良くなり、経営陣もスティールからの退陣要求で後がない。ファンド利益最大化のためのDeal Structur(ディール・ストラクチャー)を組むには最適条件が揃いすぎている感もある。
遡ること5年だが、今より遥かに条件は悪かったが、スティールも同様の視点からアデランスを狙って投資したのであろうが。。。