渋谷にある賃貸マンション、投資額は200万円で、年間の想定リターンは3.5%。
これは大手不動産運用会社ケネディクスが手がける、不動産を裏付け資産とするデジタルトークンを活用した金融商品だ。
仕組みは、以下の通り。
不動産の運用を担うケネディクスが、三菱UFJ信託銀行を受託者とする不動産信託を組成して不動産証券を発行。
野村證券とSBI証券が引受証券会社で、個人の投資家は、野村とSBIに証券口座を持っていれば、不動産証券を購入することができる。
J-REITという株式市場に上場している不動産証券があるが、これは上場しないで販売しているもの。
では何がこれまでと違うかというと、不動産証券はセキュリティトークンとして、三菱UFJ信託銀行が開発したブロックチェーン基盤のプラットフォーム「プログマ(progmat)」で管理されるところ。
このブロックチェーンに情報を載せて共有化することで、お互いの情報に間違いがないかを検証する「照合」が不要となり、事務負担が削減され、コストが減る。
J-REITのように、上場されることを考えると、そのコスト負担は雲泥の差だ。
このデジタル不動産市場が、今後2030年に2.5兆円市場に成長するという。
リスクはあるとはいえ、実物不動産が裏付け資産になっていることから、比較的安心して投資が可能であり、金利も定期預金金利の何十倍にもなる。
今後、超定期金利が続けば、投資資金がこのような不動産小口化商品に大量に流入するのは、間違いないであろう。
ただ、この商品の仕組みは、まだ本来の不動産のNFTまでには行き着いていない。
データをプライベートなブロックチェーン上に乗せただけなので、まだ、販売会社、受託会社など、様々な企業が関わっている。
今後、このような仲介業者がかかわらない不動産NFTができて、投資家がウォレット等で直接購入して管理できれば、もっと市場は活性化するであろう。
今後、不動産の小口化のマーケットに注目していきたい。