金融機関の国際的なルールを決めているバーゼル銀行監督委員会(BCBS)という機関がある。今回、銀行がビットコイン等仮想通貨を保有することを規制する案を出してきた。
エルサルバドルという国がビットコインを法定通貨にするというぶっ飛んだことをするから慌てるのも仕方ない。
どんな規制案を出したかというと、銀行が保有する資産に対するリスクウエイトを1,250%にするというもの。
銀行は保有する資産のリスクに応じて、資本を一定比率(国際銀行は8%)積むように定められている。
これは保有資産で損失が出たとしても、その損失を補うだけの引き当てを事前に積んでおき、銀行が破綻しないような仕組みを作っている。
リスクウエイト1,250%の意味は、100のビットコインを保有した場合、その12.5倍の1,250資産を保有しているとみなすこと。
国際銀行はリスクウエイトで換算した資産額の8%の自己資本を保有することを義務付けられているので、その1,250✖️8%=100の資本を持たなければならないことになる。
銀行は、資本にレバレッジをかけてなんぼの商売なので、ビットコイン100購入するのに100の資本が必要な運用は、効率が悪い。
よって、銀行のビットコインの保有が抑制されることになる。
ちなみに、法定通貨を裏付けとしたステーブルコインについては、この規制は適用されない。
世界のマネーを牛耳っている銀行の親玉であるバーゼル委員会は、ビットコイン等仮想通貨が世界に浸透してしまうと一番美味しい通貨発行権が奪われることになるので、ここで規制を強化して、勢いを抑えたい意向なのだろう。
エルサルバドルのビットコインを法定通貨にするといった宣言で、危機感を覚えた主要国の政府や中央銀行は今後、仮想通貨に対する規制をどんどん強める方向に動くであろう。
規制の状況がはっきりしてくるまで、機関投資家の本格参入は見込めない。
個人での売買中心の相場が続くであろう。