■ 時事ネタ
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・中国国営の中国石油天然気集団(CNPC)が、日本が10%の権益を
保有するイラン南西部の大型油田「アザデガン油田」の権益70%を
イラン側から取得する方向で基本合意した。
・「アザデガン油田」は、定埋蔵量260億バレル(世界の約2%)に及ぶ
世界屈指の埋蔵量を誇る。2004年に日本企業が75%の権益を獲得したが、
開発作業の遅れと、アメリカに対する配慮から、2006年10月に、日本側
の権益の65%をイラン側に譲渡し、10%まで権益を減らした。
・イラン政府は6月にも南部のガス田開発をフランスの石油会社から、この
中国のCNPCに乗換えている。
・国際的孤立の下で、開発資金の不足に直面するイランと、世界最大の
油田・ガス田地帯である中東に足場を築きたい中国双方の思惑が背景
にある。
■ コメント
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「イラン」 と 「中国」
かつて、イランの辺りにはメソポタミア文明、中国には黄河文明と
世界四大文明の二つが存在した。
なぜ、この2カ国は、帝国主義の欧米に公然と立ち向かうのか?
今回はこの2カ国に共通する歴史観も踏まえながら、彼らの立場を
考えてみたい・・・。
<歴史観>
イランは、北はカスピ海、南はペルシャ湾と海岸に面し、西は
トルコとイラク、東はアフガニスタンとパキスタンと国境を接して
おり、アジアとヨーロッパを結ぶ中継基地として地理的に重要な
位置を占めている。
メソポタミア文明もこの辺りから起こっている。
歴史的には、紀元前3〜5世紀にかけて、全オリエントを支配した
アケメネス朝ペルシア帝国の子孫であり、偉大な栄光をもつ系統
である。
一方、中国も黄河文明の発祥の地であり、中華思想にあるように、
文明の中心であるという誇りを持った国です。
そして、このペルシア帝国のペルシア文明と中国文明は、シルク
ロード(先日暴動があったウイグル自治区を横断する交通網)を
通じて、長年にわたり、互いに行き来したのである。
この歴史的に偉大なる両国も、偉大な国であるという自負心が邪魔
をしたのか、近代に入り発展が遅れ、欧米列強の帝国主義の餌食と
なった。
革命で勝利するまで、半植民地時代の屈辱を味わったのである。
この2カ国は、偉大なる歴史体験と、欧米の帝国主義に対しての
屈辱的な体験といった2つの共通体験を持っているから、根底では
どこか連帯感で結ばれているのだと想像できる。
経済発展と軍事力の強化により、力をつけた今、このような歴史観
があるからこそ、欧米の帝国主義に公然と立ち向かっているので
はないか。
次号に続く