仮想通貨取引所の世界大手、米コインベースが米ナスダック市場に上場した。
時価総額で約8兆円と巨大で、その大きさはナスダック市場の約3倍、日本取引所グループ(東証+大証)の約5倍だ。
現在の株式市場の取引所は、直接ユーザーが取引所に注文を入れるわけではなく、既存の証券会社が取り次いで注文を入れている。一方、米コインベースは5,000万人のユーザーが直接売買注文を入れる。
中で手数料を抜いている人がいないので、当然、売買手数料収入も大きい。
21年1〜3月の純利益は約8百億円とその大きさがわかる。
また、今回コインベースはIPOではなく、直接上場の方法をとった。
IPOは機関投資家が上場時に決めた金額で一定の新株を引き受ける。当然この機関投資家に損はさせられないので、価格設定も機関投資家の意向が働く。
ということは、市場が考えるより安い価格で売り出される傾向にある。
IPOを引き受けた機関投資家が儲かる仕組みだ。
直接上場となると、上場時の資金調達はなくなるが、価格は市場に委ねることとなる。
IPOより価格の乱高下は激しくなるが、不要に安い価格で株式を売り出すことはない。
このようにみてくると、単なる大手仮想通貨取引所の上場のように見えるが、今回の上場は既存の金融の枠組みを変える試金石となるのではないか。
この上場を認めたということは、規制当局ももう仮想通貨を認めざるを得ないということであろう。
規制を強化して、既存の金融システムを破壊しかねない仮想通貨の勢いを止める段階は過ぎ去った。
もう後戻りはできない。コインベース上場はそんな歴史的な出来事に思える。