前回買いたように、物理的にいえば、お金は無限に発行できます。紙幣であれば紙を使うので、紙の原料がなくなれば発行できませんが、コンピュターを使えば、ポチッと押すだけで無限に発行できます。
では、なぜ、政府(日銀)は無限に発行しないのか?
それは、インフレという制約があるからです。
ここでインフレとデフレの定義を改めて考えてみましょう。
国内の労働者が提供できる物やサービスの供給能力の限界を潜在GDPと呼びます。
この供給能力を超える需要が発生した場合(需要>潜在GDP)を、インフレと呼びます。逆はデフレです。
2019年の名目GDPは553兆円で、2020年は526兆円と減少しています。
2020年に名目GDPが27兆円減少しているのは、コロナで需要が27兆円減少したからであり、地震で国内の工場などが潰れて、国内の供給能力(潜在GDP)が減少したからではありません。
ということは、潜在GDPは最低でも553兆円はあるということです。
この状態は、明らかに、需要<潜在GDP の状態なので、デフレの状態です。
ではここで政府が50兆円の国債を新しく発行して公共事業に50兆円使ったとしましょう。
単純計算で2020年のGDPに50兆円プラスされ、576兆円になったとして、2019年の名目GDP553兆円を超えますが、ハイパーインフレになるほど、物価が上がると思いますか。
少し物価上昇するかもしれませんが、ハイパーインフレなんかにはなりません。供給能力は減少していないからです。
戦争で焼け野原になり、国内の供給能力が壊れて減少してしまい、例えば潜在GDPが100兆円しかないところに50兆円の需要を新しく作れば、それは結構なインフレになると思いますが、今はそんな極端に供給能力がなくなった状況ではありません。
ただ、日本の供給能力(潜在GDP)が大きいからといって、無限にお金を発行して、物やサービスを利用できるわけではなく、供給能力という制約、つまり、インフレの制約はあるということです。
お金は無限に発行できるか?の疑問に答えると、無限に発行できるけど、無限に使うことはできないという整理になると思います。
言い方をかえれば、インフレにならない限り国債を発行して使っても問題ないということです。
今はコロナで需要が大幅に減少しているときです。インフレを恐れることなく、お金を発行して使ったら良いと思います。
ちまちまやっていたら、廃業や失業でいずれ供給能力も大幅に減少してきます。
そうなったら、日本の供給能力は大幅に減少して、日本は衰退の一途を辿るでしょう。