通貨ユーロは、世界で基軸通貨ドルの次に流通している通貨で、ECBという欧州中央銀行が発行しています。
ECBには、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン等19ヵ国が加盟し、共同で運営しています。
このユーロは構造的な欠陥があり、一つ間違うと、ユーロ加盟国がデフォルトし、この通貨制度が崩壊する可能性もあります。
これは、自国通貨を持つ、アメリカ(ドル)、日本(円)とは、構造が全く異なるからです。
アメリカはFRBというドルを発行できる中央銀行を持っており、建前上はアメリカ政府から独立していると言ってますが、実際は緊密に連携しており、政府と一体となっています。日本政府と円を発行している日銀の関係も同様です。
自国通貨で借金をしているアメリカと日本は、自国通貨を発行できる中央銀行と実質一体なので、借金が返せなくなる(デフォルトする)ことはあり得ません。
返す資金がないのなら、自国の中央銀行に通貨を発行してもらえばよいからです。
もちろん、金利上昇やインフレを考えた場合、限度はあります。
一方で、ユーロは主権の異なる19ヵ国で運営しており、1ヵ国の意思で自由にユーロを発行することができません。
ギリシャもイタリアも国債を発行していますが、ユーロ建てで発行しており、自国通貨ではありません。
アメリカや日本のように、自国の意向だけで自由にユーロを発行できないので、国債の満期が来た時に、返すユーロが足りなくなり、債務不履行(デフォルト)することもあり得ます。
要するに、ユーロという通貨システムと各国の財政制度が切断されているという構造的な欠陥があるのです。
このようにユーロの発行に制限がある以上、例えば財政状態が悪いイタリアが自由に国債でユーロを調達することができなくなります。そうすると、まずはイタリアは財政再建に舵を切らざるを得ず、イタリア国内で通貨不足(デフレ)を招き、より景気が悪くなるという悪循環に陥ります。
今はコロナ危機で、無制限?にイタリア国債を買い取ってユーロを供給するといった超法規的な処置がとられていますが、コロナ危機が収まってもこの状態が続くとは限りません。
ユーロを実質支配しているドイツは財政健全化が大好きな国ですので、いずれイタリアは財政健全化を迫られるでしょう。
そして、ユーロ加盟国はこのユーロという通貨システムに疑問を感じ、対立を深めていくでしょう。
この解決策の一つは、ユーロ圏での財政統合だと思います。実質一つの国になるということです。
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