政府が財政支出(通貨発行)して財政赤字になればなるほど、民間全体の貯蓄が増え、国民が豊になるのであれば、政府は財政破綻を気にせず、財政支出をどんどん拡大すれば良いのでしょうか。
これが素朴な疑問ですよね。
MMTでは、自国通貨発行権のある政府(例:円の通貨発行権がある日本政府)に支出制約はないと主張しています。つまり、政府に債務不履行(破綻)リスクはないという意味です。
でも、日本政府がこのまま借金を増やしていくと、日本は破綻するとか、日本はハイパーインフレになるという話をよくニュース等で聞きます。
どちらが正しいのでしょうか。
モズラーの名刺の設定で考えてみましょう。
父親は日銀、母親は日本政府、子供たちは国民(家計+企業)の設定です。
両親は統合政府(日銀+日銀政府)と考えましょう。連結会社なので一心同体です。
母親は父親の名刺をどんどん印刷して、子供たちのお手伝いの対価として名刺を渡していきます。全部で3,000枚配布して、子供Aが2,000枚、子供Bが800枚、子供Cが200枚獲得したとしましょう。
更に、母親は名刺を印刷しようと思いましたが、印刷機が壊れており、すぐに印刷できません。印刷機がなおるまで、子供Aから1,000枚借りて、同様にお手伝いの対価として子供たちに名刺を渡すことにしました。こうして、子供Aが200枚、子供Bが400枚、子供Cが400枚の名刺を新たに獲得しました。
ここで、両親は3,000枚の名刺発行(-3,000枚)、1,000枚分の国債発行(-1,000枚)となり、子供A1,200枚+国債1,000枚分、子供1,200枚、子供C600枚で、計名刺+3,000枚、国債+1,000枚 となりました。
1年後期限が来たので、子供は国債1,000枚分を渡し、両親から名刺1,000枚を返してもらおうとしましたが、返す名刺が手元にありません。そこで、名刺を新たに1,000枚発行して、子供Aに名刺を1,000枚返しました。
どうでしょう。名刺をいくらでも発行できる両親は、Aから名刺を借りても返せますよね。借りた名刺を返せないのが破綻ですから、この場合、両親の破綻はあり得ません。
よって、日本政府が自国の通貨円で借金をする限り、日銀が返済に必要な円を発行すれば良いのですから、日本政府が借金で破綻することはあり得ません。
では、いくらでも日本円を発行できるのでしょうか。
どれだけ日本円を発行しても日本政府が借金を返せなくなり、破綻することはないですが、やはり限りはあります。
その限度は何かというと、強いインフレにならない限りということです。
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