ドル指数が11週ぶりの安値を付け、リスクオン相場が継続しています。
良くニュースなんかで、実態経済が回復していないのに、株価だけ上がっているので、これはバブルだから二番底が来るよという話を耳にします。
決してバブルなんかではないんですね。
金融市場が回復してお金が回り始めてその力で実態経済が回復するんですね。
今日は、不況時の経済回復のプロセスを覚えておくといいという話です。
リスクオン相場とは、投資家が積極的にリターンを追及し、リスク資産への資金シフトが起こり、世界に資金が回り始める相場のことです。
ドル指数とは、主要国通貨 (ユーロ、円、ポンドなど)に対するドル(米ドル)の総合的な価値を指数化したものです。
ドルは基軸通貨で、世界の通貨流通の約40%ほどを占めているんです。ユーロが約20%、円が約10%この3通貨で世界の通貨の約70%になります。ざっくりとした話です。
ドル指数が上昇する時は、他の主要通貨に対し、ドルが買われている時なので、ドルに世界のお金が集まっているときになります。
単純に主要通貨に比べ、ドルの金利が高くなれば、ドルにお金が集まり、ドルが買われ緩やかなドル指数の上昇になります。
もう一つ、ドル指数が上昇する時があります。この時は、急激にドルにお金が集まります。
これが今回のコロナ危機のように、世界的な危機がおこり、世界の人々の不安が高まったときです。例えば、戦争・紛争、テロ、金融危機などの世界的な危機のときです。
下のグラフでもコロナ危機の際に一時、102.8いまで急激に上昇しているのがわかると思います。
これが今、コロナ危機前の水準の96.8.8まで下がってきています。
これは、コロナ危機で世界が不安になり、一旦、世界の資金がドルに一極集中したけど、世界の不安が落ち着き、この資金がまた世界中に戻り始めたということになります。
リスクが高いと言われている新興国の株価が上昇したり、新興国通貨が買われたりするのは、世界の不安心理が解消し、また、世界経済に資金がまわり始めているということですね。
実態経済がこんな状況で、違和感は残ると思いますが、金融市場は実態経済を先読みして動きくので、特に違和感を持つ必要はありません。
今はやっと全身に資金という血液が流れ始めた状態なので、これが継続しないと、また瀕死の状況に陥ってしまうでしょう。
ECB(欧州中央銀行:ユーロ発行)も追加の量的緩和を決めましたし、FRB、日銀等中央銀行や、日欧米政府もまだまだ追加予算を組んで企業や家計に資金を投入していくと思います。
このリスクオン相場はまだ継続しますし、そうでないと世界の資金が枯渇して実態経済も回復しません。
実態経済が回復したから安心して世界に資金が流れはじめ、それから、世界の株価が回復するのではないんです。先に金融市場が動いて資金が世界にまわりはじめてから、その資金で実態経済が回復していくのです。
これが世界的な危機の時の経済回復のプロセスです。
だから、世界の株価が実態経済より先に回復しても不思議ではないのです。