福島原発の電源が復帰し、事態が改善に向かっており、これに関しては、市場の不安は収まってきている。
代わりに欧州債務危機が再びクローズアップされている。問題は当面の資金繰り。
21日のユーロ圏17カ国の財務相会合で、欧州版IMFが7,000億ユーロで合意され、制度設計は前向きに進んでいるおり、当面の資金繰りについても欧州全体で支えていく方向に変わりはないため、最悪の事態に陥ることはないと考えている。
それより、今の大きな課題は、インフレの問題。それも悪性のインフレ。これは先進国の超金融緩和が招いたもの。
イギリスでは年内にインフレ率が5%を容易に上回るとの見通しが出てきている。
ユーロ圏や米国もいずれ同じような状況となることから、超金融緩和を修正しなければならないという状況。
ただ、経済が大きく成長している中での利上げではなく、悪性のインフレによる利上げのため、利上げは経済回復を後退させるなどさまざまな悪影響を与えることが予想される。
利上げをしなかったら、インフレで消費が冷え込むし、利上げをすると低金利でなんとか支えられている金融機関や企業の収益が大幅に悪化するといったジレンマに陥っている。
こんな選択肢がない状況ではあるが、中央銀行はインフレを極端に嫌うため、利上げを模索する方向に動くであろう。
よって、ユーロ圏の来月の利上げ、米国の6月の量的緩和(QE2)の打ち切りを想定しておく必要があろう。