今回のGM破綻処理の事例、及びこれまで紹介してきた、副島隆彦氏他の提言などを鑑みても、基本的に政府にとって、私達一般個人投資家の保護は危機回復政策において明らかに「劣後する課題」である。そして、政府に支援を期待できない機関投資家群は、個人投資家の財布を、最後の復活の鍵と見込んで、様々な情報戦を展開している・・・
日経新聞5月30日(土)朝刊参照
上記は、5月30日(土)付け日経新聞に掲載された08年7月以降の日経平均の株価推移表だが、5月29日(金)、ついに7ヶ月ぶりに9,500円の大台を回復した。
この日経平均株価上昇は、同紙によれば・・・
?4月の鉱工業生産指数が予想を上回り、市場のムードを良くした
?週前半に発表された5月の米消費者信頼感指数が事前予想を上回る
などこのところ景気指標の改善が目立ち、市場では「景気は最悪期を脱したのではないか」との観測が広がっている
ことが要因として想定されているようである。
しかし、表現はどうあれ、米国GDPは年率5.8%減、それに今回のGM破綻による世界実体経済への悪影響等も鑑みて、どう考えても、「景気の最悪期を脱した」と考える根拠は不明である。
指標を総て閲覧していき、期間、エリア等限定すれば、一時的、限定的にプラスに転じたり、また下落率が鈍化することも当然あるだろう。メディアはそのような、いわゆる「数字分析のマジック」を使って、「景気底入れ」を演出しようとしているようにしか見えない。
日経平均6月2日終値は、9704.31円。PER=41.39倍、PBR=1.26倍
現実的に、これから、米国は約4000兆円のバブル後の実損処理が必要となる。
クライスラーのフィアット譲渡審理については、異例ではあるが、一応の収束を見そうではあるが、
GM破産法適用申請後の再生もこれから。
GMと共に、ダウ平均から除外されたシティーグループ、
その他AIG等、実質的に国有化している巨大金融機関のExit戦略も不透明。
このような状況を考えた場合、景況のVolatilityは極めて高い、つまり「上げ相場」を期待した投資は極めてリスクが高い、と論理的には判断できるのだ。
次号に続く