ヒラリー・クリントン米国務長官は21日、オバマ政権発足後、初めて中国首脳らと会談し、米中両国関係の新たなスタートを切った。
米中外相会談後の共同記者会見では 「中国が米国債に対する信用を維持していることを評価する」「米国の景気刺激策は金融危機克服に貢献する」と発言、22日の帰国の途につく際のヒラリーのインタビューで「中国政府と中央銀行が米国国債への投資を続けることは、賢い選択だと私は信じる」「米国債は安全だ。われわれは同じ舟に乗っており、幸いなことに同じ方向に漕いでいる」と発言したことから推測すると、当初の目的であった中国による米国債の継続購入は合意を得たのかと思う。
しかし、一般市民の間では、購入継続への反対が圧倒的である。世論調査でも、米国債の継続購入に反対する人は77%に達し、賛成の11%を大きく上回っている。「なぜ貧乏人が金持ちに金を貸さなければならないのか」というのが反対の最大の理由である。まさしく正論である。
現在中国は米国債を7,000億ドル(67兆円:1ドル95円換算)保有しており、米国の最大債権国である。米国の財政悪化による米国債暴落、ドル暴落(ドル安)のリスクにさらされている。一方、「輸出に頼る中国経済の回復には米国経済の早期立ち直りが必要」「米国債を大量保有すれば米国への発言権が強くなり、中国の影響力拡大につながる」などの考えもある。
世論の反対はあるものの、政府は当面継続保有によるメリットをとり、時間を稼ぐつもりなのであろう。
中国は中東・アフリカとの関係構築(資源を購入するかわりにインフラ、物を輸出するビジネスモデル)、ロシアとの関係構築(ロシアの政府系石油会社に2兆3千億円融資し、20年間にわたる石油輸出の長期契約締結)、内需拡大(57兆円の内需拡大策)、軍事力拡大等着々と手を打ちつつある。
歴史の事実として、イギリス→アメリカと世界最大の債権国が基軸通貨を発行し、世界の覇権をとってきたのである。中国は次の覇権国となるべく、したたかに着々と準備をしているのである。
これで当面米国債の暴落、ドル暴落はなくなったように思えるが、中国はいつ米国債売却のカードを切ってくるかわからないので、今後の米中関係には最大の注意が必要である。
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