- 前回、アメリカの家計部門の債務を減らさなければこの危機はおさまらないと書いた。
- ここでアメリカの家計部門のバランスシートを見てみることにする。
- ①はバランスシート(資産残高)が最も大きい時期の2007年9月末②はその1年後の2008年9月末の数値です。(これより直近のものはまだ発表されていません)
- ①のピーク時は資産規模約77兆8千億ドル(約7千兆円:1ドル90円換算)で内訳は以下のとおり。
(時価変動資産:ピンク色)
住宅資産約23兆4千億ドル(約2,100兆円)
株式・投信・保険・年金準備金等約29兆4千億ドル(約2,600兆円)
(利付資産:黄色左)
預金・債券等約11兆3千億ドル(約1,000兆円)
(利付負債:黄色右)
負債約14兆2千億ドル(約1,300兆円)
(純資産)
約63兆6千億ドル(約5,700兆円)
- ①の後住宅バブルがはじけ、住宅価格の下落、株式市場の下落により、1年後には②のとおり時価資産額の変動で約7兆3千億ドル(約660兆円)の資産が消滅しました(時価だけでなく残高の増減分も含めると約6兆7千億ドル)。
- 当然ですが、家計の利付負債は時価下落に伴い減少はしないので、変化はありません。
- これまでの資産価値上昇過程では、利付負債をいくら増やしても住宅、株式等時価変動資産の上昇分のキャピタルゲインで返済が可能だったし、売却益を確定しなくても、資産上昇分借入を増やし、返済には困りませんでした。
- 一方、資産下落過程では、売却すればキャピタルロスが発生するし、資産下落により銀行からの借入を増やせるどころか逆に早く返せときます。
- 利付負債の借入金利が6%(2003年頃の長期金利)と仮定した場合、年間で1,300兆円×6%=78兆円の金利支出が発生します。
- 一方、利付資産の金利が2%(現在の短期金利)と仮定した場合、年間で1,000兆円×2%=20兆円の金利収入です。差し引き58兆円の金利負担が毎年発生するのです。ちなみに直近のアメリカの家計のキャッシュフロー(給与−経費及び消費財支出−税金)は約15兆円です。
- この金利負担を賄うには、毎年58兆円分をこのキャッシュフローから捻出するか、利付資産を売却するか、時価変動資産をキャピタルロスを覚悟で売却するしかありません。この時価変動資産の売却が更に資産下落を引き起こすのです。
- 次回は資産規模が直近のボトムであった2002年(住宅バブルが起こる前)のバランスシートを見てみます。最低でも2002年の資産規模までバランスシートを減らす必要があるかと思うからです。
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