- 今週は発表予定であった金融安定化策が調整に手間取っており、来週にずれ込むようだ。どこまで政府負担をするのか揉めているであろう。
- この金融安定化策で公的資金70兆円の残りの使い道を明らかにする見込みで、不良資産の買い取り専門銀行「バッドバンク」設立や保証の付与などによって金融機関強化を図るとみられている。当然70兆円これだけでは足りないのであって、金融システム再生のためには最大で400兆円はかかるとの試算もある。前回書いたアメリカの住宅ローン債権の更なる下落部分の予想が400兆円であったのと同様の規模である。
- 問題は、この400兆円をどうやってファイナンスするかである。日本のバブル崩壊に伴う不良債権処理、景気対策の資金は、1,200兆円の預金を抱える民間(国内)から調達した。現在、アメリカの民間は負債だらけで民間からの調達は不可能です。
- では、これまでのアメリカのように海外からこの400兆円の資金を呼び込むことは可能でしょうか?下記のランキングを見てください。アメリカは対外純債務国でその額は2006年末で302兆円で、世界最大の債務国です。対外純資産国は順に日本、ドイツ、中国、スイスです。アメリカが資金を呼び込むとしたら、この4ヶ国の力を借りるしかない。
- ドイツは自国、ユーロ圏で手一杯で余裕はないし、アメリカの要請は突っぱねる姿勢をとっている。中国も先日の「中国は為替を不当に操作している」とのガイトナー発言前後から、ドル債売却をちらつかせています。これ以上ドル資産を持たないでしょう。スイスは自国が大変な状況でそんな余裕はありません。海外の力を借りずにFRBで購入するという方法もありますが、結局ドル紙幣を限りなく発行し、ドルの通貨価値が大きく毀損するので意味がありません。そう考えると残りは日本に買ってもらうしかない。
- ヒラリークリントンは最初の外遊先に日本を選び、2月の中旬に来日します。日本に米国債を買えとかなりの圧力をかけてくるでしょう。日本がNOといえば、アメリカはドルを大幅に切り下げるかもしれません。この時、日本保有のドル資産は大きく目減りします。NOといったら今大損、YESといったら更なるドル資産購入により、将来に渡ってより大きな損を背負い込むのです。麻生首相はどちらを選択するのでしょうか。
国 対外純資産額
1位 日本 250兆円(2007年末)
2位 ドイツ 107兆円(2007年末)
3位 中国 78兆円(2006年末)
4位 スイス 55兆円(2006年末)
ワースト
1位 米国 −302兆円(2006年末)
2位 イギリス −80兆円(2007年末)
3位 カナダ −18兆円(2007年末)
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