中国社会科学院世界経済政治研究所の余永定所長は5日付の中国紙、中国証券報で、世界最大の外貨準備の運用について「米国債をある程度売って、ユーロや円の資産を増やすべきだ」と語ったそうである。
米国の財政赤字は2009年に国内総生産(GDP)比で10%に達する可能性があり、米国債の供給は需要を大きく上回るので、そうなる前に外貨準備の運用先を多様化する必要があるという話です。
実際に米国債の需給が崩れてから売れなくなるので、今の内に少し売っておいてはという話に聞こえます。
ちなみに余氏は06年7月まで中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員を務め、今も金融政策に一定の影響力を持つそうです。
グラフでもわかるように国別米国債保有高では2008年9月に中国が日本を抜いてトップになっています。2007年10月から2008年10月の1年間を見ると、海外保有米国債の増加額7,435億ドルのうち、中国が1,938億ドル(26%)、イギリスが2,052億ドル(27%)を占めます。日本が162億ドル減らしている中で、中国、イギリスが買い支えている状況が見えます。
(日本の場合為替が1年で115円→100円と円高になっているので、ドルベースでは目減りするのは当然ですが、目減り分を買い増してはいないということです)
2009年は今バブルにあるこの米国債の消化が順調にいくかどうかが焦点となるでしょう。