経営者の役目は企業価値を創造し、最大化すること。決して時価総額を最大にすることではありません。
経営者にとってカリスマ性は確かに必要ですが、どこかの企業のように時価総額の最大化を目標に掲げ、1株あたりの利益を期ごとにどう変動するかのみに着目しているような経営者は、そもそも価値創造のメカニズムを知らないのでしょう。
時価総額は、株価×発行済株式数で、価値ではなく、価格でしかないのです。
価値以上に価格を吊り上げるとどうなるか、投資家の期待収益率(リスク認識)が上がり、WACCは上昇するのです。
例えばWACCが20%を超えた場合、20%超のROICの事業に投資していかなければ、企業価値は破壊されていきます。
価値を創造することは、ROIC−WACC のスプレッドがプラスになる事業に投資をしていくことなのです。
この仕組みがわかっていれば、余剰現金が手元に残っていた場合、WACCを上回る投資ができないと判断されれば、自社株買い、配当等投資家に還元するオペレーションをするのです。
また、WACCを下げるというオペレーションも重要です。
帝国繊維の場合も、自社株が割安だと判断し、余剰現金で自社株買いを積極的に行っています。よいオペレーションだと思います。
このような経営者(経営陣)がいる会社は、長年にわたって価値を創造していくと思われるので、安心できます。